Individual Effectiveness | Workforce Training | Wilson Learning Worldwide

Individual Effectiveness 自己発揮力とは

Creating the Effective Workforce

Individual Effectiveness: Creating the Effective Workforce

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さまざまな組織において、ある共通した問題が生じています。たとえば専門知識を発揮して会社に貢献しながらも周りとのコミュニケーションが取れず、自分のアイデアを組織にうまく通せずにいる熟練の技術者。または大型の契約を獲得できるし、お客さまからは高く評価されるにも関わらず、いざ導入する段階になると効率的な計画を組み立てることに悩む営業担当者。さらには、豊富な商品知識と的確なお客さま対応ができ、職位に特有なストレスや葛藤のコントロールに頭を抱える顧客サービス責任者。それぞれ異なる問題に直面しているように見えますが、実はこのある共通した問題が原因となっているのです。

効果的に働く環境作りのために
自己発揮力(”Individual Effectiveness”)の考え方

「能力のある人」と「能力を発揮できる人」を分けるものとは何でしょうか。 自分の能力を発揮すること(「自己発揮力」)は、単に自分の持つ技術や専門知識をつなぎ合わせるだけでできるものではありません。

ウィルソン・ラーニングは50年以上にわたって個人のパフォーマンスについて研究し、顧客の働く環境の作りのサポートをしてまいりました。これまでの調査と長年の人材育成の経験から、「能力のある人」と「能力を発揮できる人」の違いには技術的な能力もありますが、仕事内容や組織での役割に左右されることのない「主軸スキルの組み合わせ」(スキルセット)が影響していることがわかりました。これらのスキルはあらゆる環境に応用の利くため「移転可能なスキル」(”Transferable Skills”)とも言えます。またこのスキルセットは成長のきっかけや経験を重ねる中で、メンターやコーチから学びながら成長しつづけるものです。

「能力向上」と言うと、業務に直結するものでかつ何年、何十年もかけて研鑽するようなものが先行し、ここで述べている転移可能なスキルは軽視されてしまいがちです。しかし多くの研究結果が、このスキルこそが仕事上のパフォーマンスの成果に大きく影響を与えることを示唆しています。 ウィルソン・ラーニングでは、これらのスキルを大きく3つの領域に分類しました。

  • 意図的コミュニケーション(”Purposeful Communication”):


    「意図的コミュニケーション」は、目的意識を持ち、感受性と先見性のあるコミュニケーションを取れることを指します。組織の効率性、個人のパフォーマンス向上や集団(チーム)における目標達成に関連する研究によると、組織の業績向上に高く貢献する人材は、相手と良好な関係を維持する姿勢に加えて簡潔明瞭でオープンなコミュニケーションを取れることがわかりました。

  • インスパイアード・シンキング(”Inspired Thinking”):


    「インスパイアード・シンキング(”Inspired Thinking”)」は、これまでよく組織の上層部だけに求められる能力として考えられてきました。しかしこの考えは現代では通用しなくなり、組織の誰に対しても情報を収集・整理し、新たな考え方を創造し、革新的な問題解決を提案に導き出せる判断と決断力が求められる時代へと変わりつつあります。ウィルソン・ラーニングでは、組織が成長を遂げるためにはすべての社員がこの「インスパイアード・シンキング」につながるスキルセットを持つことが不可欠であると考えます。

  • 自己充実感(”Fulfilled Self”):


    「自己充実感」は、自己発揮力の高い人が生きていく上で見せる価値観、個性、目的意識を指します。自己充実感を持って仕事に取り組む人は、物事に熱心に取り組み、高いパフォーマンスを発揮します。「自己充実感」は言動に表れやすく、言動の一貫性度合いと言うものは、つまりその人の思考や発言と行動の一致度合いが覗えます。相手を敬い、相手側の気持ちを尊重しながら、相手、個人や組織、さらには自分自身の期待を満たすような振る舞いができる人は、この「自己充実感」が高い人と言えます。

  • + 仕事上の能力(Work Talents):


    仕事上や特定の職業に必要な能力は、個人や組織の目標を達成するために重要になります。ここに含まれる技術的な専門知識や、これまでの経験から培った現場組織や実務に関するノウハウなどは、個人が仕事で目に見えた形で貢献し、よい成果を出すために重要な力です。

Individual Effectiveness Model

自己発揮力には「仕事上の能力」と「転移可能なスキル」のバランスが重要

仕事の成功は「仕事上の能力」と「転移可能なスキル」(意図的コミュニケーション、
インスパイアード・シンキング、自己充実感)のどちらかだけでは上手くいきません。
成功の鍵は、この2つのバランスが重要になるのです。

しかし、資格や実績と言ったもので提示できる「仕事上の能力」と比べて、ひと口に「転移可能なスキル」と言ってもそこに含まれる要素は幅広く、かつ曖昧です。そのためスキルアップのために何か取り組もうと思っても、難しく感じてしまうのではないでしょうか。


このレポートでは、その移転可能なスキル(意図的コミュニケーション、インスパイアード・シンキング、
自己充実感)に重点をおいて解説します。3つの転移可能なスキルを次の3つの視点に分けて見ていきます。

  • 背景にある原則
  • 必須となるスキルやコンピテンシー(行動特性)
  • 組織の成長に与える影響
  • 意図的コミュニケーション(Purposeful Communication)

    昨今のビジネス環境において意図的コミュニケーションの必需性は疑う余地がないでしょう。また、数多くの研究結果が示唆するように、意図的なコミュニケーションと企業業績や生産性、または従業員満足度と強いつながりがあり、コミュニケーションを効果的に取れることは仕事上に欠かせないものと言えます。

    「意図的コミュニケーション」を向上させることの重要性は、次のような社会的変化からも注目が高まっています。これまで通用していた「当たり前」やなんとなくできていたコミュニケーションの環境が変化しているのです。

    • IT技術の進歩などが影響して、仲介役を通さずに誰でも直接技術部門や製品担当者とコミュニケーションを取れるようになり、それを期待されるようになりました。これはつまり、その領域に専門性のある営業担当者や管理職だけでなく、どのような立場の社員であっても、また相手が誰であっても「意図的コミュニケーション」を取れることが求められるようになったと言えます。
    • 製品ライフサイクルの短縮化に対応するために、いち早い開発とマーケットへの参画が必須となり、これを成し遂げるためにはすべてのメンバーが部門を越えた横断的なコミュニケーションを円滑に取れるようになることが必要になります。
    • ビジネスのグローバル化が促進し、グローバルアウトソーシング、世界諸国の差を取り除き「フラット化」が生じたことで、より高度で、ダイバーシティに長けたコミュニケーション力が求められるようになります。

    あらゆる研究が、パフォーマンスと意図的コミュニケーションの密接な関係を示しています。 例えば、ワトソン・ワイヤット社の2005年の調査では、組織の業績指数の多くとコミュニケーションとの間に強い相関性が明らかになりました。この調査では、効果的にコミュニケ―ションをとれている(コミュニケーション力の高い)企業では、コミュニケーションに課題を抱える(コミュニケーション力の低い)企業より株主還元率が57%、市場価値が19.4%、ならびに従業員満足度が4.5倍高く、転職率は20%低い傾向が見られました。 グリフィス(2002)の研究では、コミュニケーションの実態調査を世界規模で実施し、コミュニケーションとは「人と人のやり取りを効果的に調整し、信頼関係を結束させるための基盤。そして結果的に全体のパフォーマンスの向上に寄与する力」であるとまとめました。さらにシュミット(2005)は、組織的・社会的変化を「リスク」ではなく「競争力を高めるチャンス」と捉え、前向きに思考を転換できるかどうかは、効果的なコミュニケーションに重要な要因となることを示唆しました。したがって、「意図的コミュニケーション」は個人や組織のパフォーマンスの重要な指標の一つであると言えるのです。

    「意図的コミュニケーション」の領域に当てはまるスキルを向上させるには、まずコミュニケーションの基本的な考えを理解することが重要です。私たちは「意図的コミュニケーション」の力が最大限に発揮されるタイミングと言うのは、2つのコミュニケーション上の緊張(「対人関係の緊張」と「仕事上の緊張」)のバランスが取れている状態であると考えます。この状態を保つことで、先ほどの調査の結果が示すようにコミュニケーションを通して組織のパフォーマンスの向上することができます。

    2種類の緊張
    Task and Relationship Tension over Time

    何人かがやり取りをする時はいつも2種類の緊張が生じます。「仕事上の緊張」と「対人関係の緊張」です。

    「仕事上の緊張」は、目標や仕事を成し遂げたいと言う強い動機や期待がある場合に起こります。何かを成し遂げなければならない時、あるいは何かを意図的に伝えなければならない時、その任務が解決するまでの期間中、この「仕事上の緊張」は存在する状態です。「仕事上の緊張」は能動的に行動する力を促します。この緊張が高まることで、潜在的な生産性も一層高まります。

    「仕事上の緊張」と共に、緊張には「対人関係の緊張」も存在します。「対人関係の緊張」は、対人関係の中で感じられる安らぎや信頼感が欠けた状態です。「対人関係の緊張」が高まると、相手に対してオープンに対応することが難しかったり、意見や情報を表に出すことを控えてしまいます。「対人関係の緊張」が高い状態では、返って生産性が低くなります。

    いずれの緊張もエネルギーがかかります。そのため、「対人関係の緊張」に多くのエネルギーを費やしていると、「仕事上の緊張」にはわずかなエネルギーしかかけることができません。コミュニケーションを取り始めた初期では、わずかにしかオープンに会話ができず信頼もこれから構築していくと言う、つまり「対人関係の緊張」が高い状態になります。多くのエネルギーが「この人とどうやって会話を持つか」に費やされてしまい、自分が快適な状態を保つことに焦点が当たっています。ここで重要なのは、「対人関係の緊張」を減らすように導くことです。コミュニケーションが徐々に次の段階へ進んでいき、相手との関係性がより深まれば、「対人関係の緊張」は自然と下がり、お互いに快適な環境をもつことができ、信頼感を感じられるようになります。つまり、より多くのエネルギーを仕事に充てられるようになり(「仕事上の緊張」を上げることができ)、効果的なコミュニケーションを作り出すことができます。

    両方の緊張を自己管理すること

    意図的にコミュニケーションを取るためには、「対人関係の緊張」と「仕事上の緊張」へ対する自己管理を継続的に行わなければなりません。相手によっては「対人関係の緊張」を、出会って最初の数分間のうちに下げることなく、すぐに「仕事上の緊張」を上げ始めようとします。2種類の緊張を上手くバランスを取るためには、単に淡々とした順序よくプロセスがあるというよりも、まるで相手と一緒にダンスを踊るようなイメージで相手の動きに合わせて、お互いが動きやすいようにこちらが動きを調整させることなのです。つまり「対人関係の緊張」が上がっていると感じた場合は、対人関係の緊張を下げるような言動を取ることを指します。また「仕事上の緊張」が停滞していると感じた場合は、仕事上の緊張を上げるような言動を取ると言ったことです。

    「意図的なコミュニケーション」を取るためには2種類の緊張のバランスを取ることは重要であることを話してきましたが、では、この2種類の緊張を自己管理するためのコツとは何でしょうか。それは一つひとつのコミュニケーションに前向きな姿勢で取り組むことです。1回1回のやり取りが明瞭であるように心がけ、相手との間のコミュニケーションが効果的に行えるよう責任感を持つことです。コミュニケーションを取る相手が分かりやすく伝えてくれず、あなたを不快にさせていることに対して相手のコミュニケーション力を責めるのはとても簡単です。しかし、意図的なコミュニケーションの力を発揮するためには、お互いが効果的にコミュニケーションを取ることに対して責任を持ち、相手のコミュニケーションスタイルに対応させて、その都度理解したことを確認し合うことが重要になります。もし「対人関係の緊張」が高い状態ならば、周りの人が居心地のよい環境を作ることに徹し、「仕事上の緊張」が低い状態の場合は、話の内容を前進できるよう積極的に働きかけてみましょう。

    意図的コミュニケーションを取るために必要なスキル

    「対人関係の緊張」を下げて「仕事上の緊張」を上げるためには幅広いコミュニケーションスキルが必要です。これらのコミュニケーションスキルを分類する方法は無数にありますが、私たちはコミュニケーション上の2種類の緊張に対応するためのスキルはどのようなものがあるか調査し、以下のスキルを導き出しました。

    • 相手を理解する姿勢を持った傾聴力: 意図的コミュニケーションを取るためには単なる傾聴ではなく、事実や相手の意見、関心事についてあなたが相手のことを理解しようとした姿勢をもった傾聴が重要です。相手の考え方に理解を示し、価値を見出し、相手の話す内容に対して関心を示すことで、「対人関係の緊張」を下げることができます。また関心事や期待している成果を明確にすることで「仕事上の緊張」を高めることもできます。
    • 探究心を持った意思表現力:「対人関係の緊張」を下げ、「仕事上の緊張」を上げるためには、効果的な質問を通してあなた自身や他者のアイデアをさがし出す力が欠かせません。「探究心を持った意思表現力」とは、さまざまな質問の種類を知っているだけでなく、相手を対話に導き込むための自己表現方法の理解までを含みます。
    • 共感力:相手の立場に立って物事を理解できること、また共感できる力があれば、相手を大切にしたいという意図が伝わり「対人関係の緊張」を下げることができます。「共感力」とは、問題を相手の立場から見ることができ、相手が抱くであろう疑問を予測し、相手の感情を的確に理解する力です。
    • 信頼を得る力:「対人関係の緊張」が下がるのは、相手があなたを信頼のおける人だと認識した時です。能力、相手との共通点、ふさわしさ、前向きな姿勢や意図を伝えることで、信頼を得る言動を取ることができます。
    • 説得力:組織のすべての情報や権力を特定の人が保持している場合は、他者を説得する力はさほど問題にはなりませんでした。昨今はこれまで以上に組織の目標達成のためには、職位や立場に関係なく、さまざまな人に影響を与え、行動を促す必要があります。チーム内の連携が増し、個人や組織の成功のためには組織内のメンバーを説得する力がとりわけ重要になります。
    • 問題に対して建設的な対応力:新たな発見や革新がきっかけとなり急激な変化が生じた場合、対立をいち早く解決する力が求められます。「建設的な対応力」とは、対人関係の衝突や生産性に影響を出す争い事を避け、有益で生産性の高いフィードバックで相手を励ましたり、問題を理解し、主張し、解決のために集中できる安全な環境を作りだす方法を学ぶことです。
    • 関心事の探知力:共感力と共にもう大切なのは、相手のニーズや関心事に理解を示すことです。相手のニーズを分析したり、取り巻くすべての関係者とそれぞれの関心事を把握することで、あなたが相手と価値観を共有していることを気づかせることができ、結果的に信頼感を築き「対人関係の緊張」を下げることができます。
    • 効果的なプレゼンテーション力:多くの人がプレゼンテーションに苦手意識を感じています。しかしプレゼンテーション力の必要性は増し、組織のあらゆる階層の人材に求められています。効果的なプレゼンテーションとは、単に情報を伝えるだけではなく、聴衆に明確な行動の変容をもたらすものです。確固としたプレゼンテーションのスタイル、効果的なプレゼンテーションの構造理解、そして挑戦的な態度や質問に対して平静を保つ姿勢が、このスキルの基盤があります。
    • 交渉力:組織構造の階層がフラット化するにつれて、交渉術は管理職や役員階層以外の幅広い層で求められるようになりました。そのため現在のビジネスでは、組織のすべての階層で同僚や顧客との交渉力を発揮することが求められています。どのような対人関係であっても解決しなければならない問題に焦点を当てて、さまざまな選択肢を創造的に生み出し、比較検証を行うこと、問題解決には交渉者双方がウィン・ウィン(Win-Win)の姿勢で交渉に臨むこと。仕事上のパフォーマンスの高い人は、これらの方法をすべて習得しています。
    • 対人関係上の対応力:私たちの職場は、これまで以上に文化、言語、教養、思想や哲学の観点からも多様化しています。そのような環境で働く私たち一人ひとりには、職場のやり取りでこれらへの適応する力が期待されています。「対人関係上の対応力」とは、組織のすべての職場の人と上手くやり取りをするための能力です。「対人関係上の対応力」があれば協働したプロジェクトの遂行にも優位ですし、組織や組織関係者のさまざまな価値を創造しながら、私たちにビジネスに新しい価値を取り込むことができます。

    インスパイア―ド・シンキング

    どんな仕事や状況においても「転用可能な」数々の思考スキルがあります。技術的な挑戦や会計処理のためには、それぞれの分野で独自の深い知識が必要ですが、この二つの状況で使われる問題解決プロセスは、実は同じものなのです。さらに、ある場所で効果的な問題解決プロセスを学んできた人は、他の場所ではより早く問題解決の手法を学ぶことができます。なぜなら、すでに「転用可能な思考スキル」を身に着けているからです。

    Divergent and Convergent Thinking Tension

    企業、チーム、個人のレベルに関わらずこの「的確な思考力」の領域は成功には不可欠です。例えば、ある
    研究結果によると、売上の大部分を既存製品ではなく新製品から得ている企業は、他社より優位にあります。
    また、その研究『イノベーションへの解 利益ある成長に向けて』の中でクリステンセンとレイナーは「イノベーションと企業の成功は深くかかわっており、創造力だけでは十分ではない」と言っています。「的確な思考力」もこのプロセスの重要な一部を担います。同様に、我々の研究によると、「的確な思考力」のスキルがあるチームは、他にくらべてよい成績を出します。さらに、”Flash of Brilliance”のウィリアム・C・ミラーは、数十年に渡る研究から、「的確な思考力」のスキルが高い人は成功することを示しています。

    収束と発散の緊張感

    では「インスパイア―ド・シンキング」に必要なものは何でしょうか。我々の経験では、集中と発散の思考プロセスを行ったり来たりする能力が中心にあります。複雑な仕事や課題に直面したとき、新たな情報に寛容になることと、それと同時に取り入れた情報を扱いやすくまとめられることが大切です。つまり、発散思考と収束思考の間にある緊張に対処する必要があります。発散思考は、知識を拡げて新たな認識や素質を生み出す力です。例示、類推、比喩などから、多くのオプション、アイディア、情報、選択肢を引き出すことでもあります。発散とは、すべての可能性をさらけ出すことです。

    反対に、収束思考はたくさん出た意見を取り上げ、比較、構造化、組織化することで最適で可能性の高い解決策を導き出す力です。収束とは、混沌の中から問題解決のために妥当性が高くて重要なアイディアを拾い上げて秩序づけることです。

    さらに「的確な思考力」が従来の思考法と異なる点は、収束思考と発散思考を行ったり来たりする能力です。認識や思考プロセスを拡げ、次に新たな結論に導くべく新たな情報をまとめ直し、さらにまたその結論を拡げ、また最終的な成果を導き出す。「的確な思考力」はバネのように自由に収束と発散の間を動き回り、最適な成果を導き出すのです。

    「インスパイア―ド・シンキング」のスキル

    収束と発散を繰り返すには、さまざまな種類の「インスパイア―ド・シンキング」スキルが必要です。我々の研究では、このプロセスにおける7つの重要なスキルを特定しています。職位が異なればこれらのスキルで求められる習熟度も変わりますが、組織の成功のためには、すべてのスキルがある程度必要になります。

    自己充足感

    長年の間、企業は従業員の参画意欲や充実感を高めるために、人を不幸にするものを排除することに専心してきました。労働環境を改善させ、雇用方針を公正にして、昇進のための障害を撲滅し、不公平を是正する措置を取ってきました。しかし、今日では皆さんもご存知の通り、これらの障害は参画意欲や充実感を妨げるものではありますが、障害を取り除いたからといって参画意欲や「自己充実感」を満足させることにはつながらないのです。セリグマン、バンデューラ、スナイダー、チクセントミハイ、サロベリー、マイヤーなどにとる数十年の研究から、それがなぜなのかが解明されています。上記の活動はすべて個人を取り巻く環境に関するものです。先述の学者たちの研究では、真の充実感は内面からくるものだといいます。その人の持つ人徳、性格の強み、強靭さ、自分自身や他者の気持ちへの敏感さが、その人の活躍に寄与するのです。「自己充足感」の領域が優れてくると、組織のパフォーマンスも向上します。さまざまな研究で、自己イメージが充実している人は、機械のオペレーター、小売の店舗マネジャー、海軍将校、企業経営者など、どんな職業、どんな分野でも高いパフォーマンスを発揮するだろうと予言しています。

    さらに研究によると、自信や自己効力感などが個人のパフォーマンスの28%に起因しているということがわかっています。

    個人意識(志向)と社会意識(志向)の緊張感

    「意図的なコミュニケーション」は対人関係の緊張と仕事上の緊張と定義しました。「的確な思考力」は収束と発散の間の緊張感と定義しました。「自己充足感」も緊張感で定義します。今回は個人意識(志向)と社会意識(志向)の間の緊張感を扱います。

    自分が何者か、自分が支持するものは何かということはよくわかっているのに、相手の気持ちやニーズへの配慮が欠けている人がいます。また、他人のニーズや気持ちや期待に調子を合わせるばかりで、自分の立場や大切なものにはなかなか気づけない人もいます。

    「自己充足感」は、個人意識(志向)と社会意識(志向)の間のバランスを意味します。パフォーマンスが高い人は、内なる自分の価値観にも、外側の社会や他者にも、視点を合わせることができます。「自己充足感」のロールモデルとなる人を一人くらいは挙げられるでしょう-相手に心から関心を持って接して、いつも穏やかで、深遠で明快な目的や意図を基に意思決定している人です。

    個人意識(志向)は、自分自身を統率するスキルや特性を包含しています。個人の価値観や人生の目的に対する意識なのです。逆境に直面しても平静沈着かつ断固としていられる力、状況適応力、自分の人生をうまく運営する力です。価値観は、自分にとって意義があり動機づけになるよう形作られています。個人意識(志向)が高い人は、内なる自己と繋がる方法や、そこから自分の強みを描き出す方法を知っています。 社会意識(志向)は仕事上の人間関係を構築するスキルを包含しています。相手への尊敬の念を示したり、同情したり、それぞれの違いを大切にすることは、すべて社会意識(志向)の要素です。社会意識(志向)が高い人は、相手との繋がりを作る方法を理解していて、目標に向かってコラボレーションできます。スタイル、文化、背景から生じる違いが生み出す意見や見解を大切にしており、相手とのやりとりで尊敬や同情を示します。

    自己充足の在り方と実践方法 自分自身を扱う「個人意識(志向)」と相手を扱う「社会意識(志向)」の間の緊張感は、常に存在します。この緊張感を理解するのは大切ですが、より重要なのは二つの間の緊張感のバランスを保つ責任を負うこと、そしてその結果相手や自分に与える影響に責任を持つことです。この選択を「自己充足の在り方」と呼び、この領域で優位に立つための最初のステップです。一度選択したら、その約束を達成するためのスキルが必要になります。それが「自己充足の実践方法」です。

    自己充足のスキル まず最初のステップは、個人意識(志向)と社会意識(志向)の緊張感のバランスへの責任を引き受けることです。ですが、あなた自身や相手のニーズに対して受容的かつ敏感になるスキルも必要です。私たちは研究の中で個人および社会意識(志向)双方の特性を数多く定義してきました。

    個人意識(志向)

    仕事における才能

    全米の多くのビジネス書でコミュニケーション、思考法、自己実現などが注目されていますが、仕事における才能は不可欠であり、無視できるものではありません。数年前、日本の雑誌で人気のある漫画がありました。スーツを着た二人の男性、一人はアメリカ人でもう一人は日本人でしたが、通勤電車の中で並んで座っています。二人とも本を読んでいます。アメリカ人が読んでいる本のカバーには、「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」という、当時アメリカで流行していた本の題名が書かれています。一方日本人が読んでいる本のカバーには、こんな題名が書かれています:「人生に必要な知恵はすべてエンジニア上級コースの勉強から学んだ」。

    この漫画は、仕事における才能は3つの「移転可能な」スキルと同様に価値があることを明快に示しています。

    誰もが職務における独自の専門スキルを持っています。そしてそのスキルは組織のミッション達成のために不可欠です。仕事における才能は、職業、産業、会社、職位に応じた具体的なものと定義できます。必要なスキルをすべて書き出すのは無意味ですが、必要とされる独特なスキルの種類は、よく4つのエリアに当てはめられます。

    商才:昔は、組織のリーダーは自組織の動きを理解していれば十分でした。しかし現在の複雑なビジネス環境では、すべての人がビジネスプロセスやオペレーションをある程度理解している必要があります。

    組織の知識: 一般的な商才に加え、組織の独自性が何かを理解しておくことも大切です。製品知識や中核となる価値観、重要業績評価指標とその管理方法についての知識なども含みます。

    仕事で使える独自の才能や特性は、誰もが必要です。

    科学技術の活用:現代の職場ではほぼすべての人に科学技術に関する知識が必要とされます。コンピューターのアプリケーション、インターネットの機能、電話や遠距離通信システム、特別な電子機器など、日々の業務で何かしらの科学技術を利用しています。

    個人の有用性とバランス

    すでにお気づきかもしれませんが、3つの「移転可能な」スキル領域の中心にあるのは「バランス」というコンセプトです。3つの領域について研究を進める中で、二つの相対する緊張感の間のバランスという概念が繰り返し見出されました。結論としては、個人の有用性とは二つの異なる、対極にある力の間に存在するものだということです。これらの力は、その人が才能の新たな高みに挑戦する際のエネルギーの源泉を生み出します。

    「緊張感」という言葉から「ストレス」を連想してネガティブに捉える人もいます。私たちは、緊張感は実際には価値を生み出す中心的な役割を果たすと考えています。緊張感は、ゴムバンドのような働きをします。機械のベルトやチェーンに付いている「緊張感」は、その機械を動かします。緊張感には物事を動かす力があるのです。

    それぞれのスキル領域には、それぞれの緊張感の型があります。それぞれのスキル領域で、一方の緊張感の源に近づき、もう一方から離れるという自然な傾向が見られます。高いパフォーマンスを発揮できる人は、この引力を理解して、意識的にこのバランスを保とうと努めています。

    Balance and the Effective Individual

    要約すると、私たちは個人の有用性には4つの領域が不可欠な要素だと考えて
    います。つまり、「意図的なコミュニケーション」「的確な思考力」「自己充足感」「仕事の才能」です。すべての従業員にこれらのスキルが同じ程度必要だと言っているのではありません。状況や職位が異なれば、これらのスキルの組み合わせも変わってきます。例えば、お客さまや社会と直接的に関わる仕事の人
    (営業担当者、顧客サービス担当者、公共関係の専門家など)は、「意図的なコミュニケーション」のスキルを他よりも磨く必要があるでしょう。技術担当者
    (デザイナー、科学者、会計士など)であれば、「的確な思考力」のスキルアップに注力する必要があるでしょう。 とはいえ、すべての人がこの4つの領域のスキルを最低限のレベルまで高めておく必要があります。顧客サービスの人にも「的確な思考力」があれば、より効果的な対応ができますし、お客さまの問題解決の際には、時にはクリエイティブなアプローチが求められることもあります。技術担当者も、クリエイティブな解決策を練るためには、自分の意見を伝えたり、周りと協力したりする必要があります。

    個人の有用性
    仕事において価値あるユニークなスキルを身に着ける。
    「意図的なコミュニケーション」 「インスパイア―ド・シンキング」「自己充足感」「仕事の才能」
    コミュニケーションにおける対人関係の緊張と仕事上の緊張を管理する責任を引き受ける。 収束と発散の思考プロセスを自由に行き来して、適時適切な行動を決める。 個人意識(志向)と社会意識(志向)のバランスを保ち、自分がなりたいタイプの人を演じる。 仕事において価値ある、ユニークなスキルを身に着ける。
    K E Y   C O M P E T E N C I E S: 主要な能力
    • Listening to Learn
    • Expressing to Explore
    • Establishing Empathy
    • Demonstrating Credibility
    • Persuading
    • Constructive Conflict
    • Uncovering Interests
    • Presenting Effectively
    • Negotiating
    • Interpersonal Versatility
    • Reasoning
    • Problem Solving
    • Creative Thinking
    • Pattern Recognition
    • Decision Making
    • Planning
    • Thought into Action
    • Personal Development
    • Self Management
    • Drive and Initiative
    • Risk-Taking
    • Courage
    • Integrity
    • Compassion
    • Valuing Diversity
    • Contributing to Teams
    • Business Acumen
    • Organization Knowledge
    • Technical/Professional Expertise
    • Working with Technology

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    創造的で生産性の高い従業員

    創造力、リスク管理、コミュニケーションスキルなどの話になると、その能力の有無に関わらず、「こういったスキルは習得することはできない」と提唱する人もいました。しかし逆に、研究では、これらのスキルは向上させることができるばかりでなく、組織が従業員に対してその習得や応用ができる機会を提供することが不可欠だと示しています。

    成長にはさまざまなアプローチがありますが、多くのお客さまはシンプルな4ステップが従業員のスキルアップに最も効果的なプロセスだとおっしゃいます。このモデルにあるすべてのステップを実行していないという企業はないと思います。次の基本プロセスは、スキル定着の時間を短縮させ、職場で継続的にスキルアップしていきます。

    Assess, Learn, Plan, Sustain

    Assess:成長しようと努力するならば、まず現在の強みと課題の明確化、測定から始めるべきでしょう。測定スキルには数多くの手法があります。代表的なものには、ジョブ・シミュレーション、テスト、360度調査や180度調査などの多面評価などがあります。個人と組織がその人の成長課題についてよく理解することが、このステップの達成になります。

    Plan:よく馴染みのある表現ですが、「計画を失敗することほど、失敗を計画することはない」のです。これはスキル育成の場合でも同様です。企業の中で膨大な育成が行なわれていますが、偶然の産物であったり、焦点が定まっていなかったりします。これは時間とリソースの浪費でしかありません。各自がやるべきこと、実行する時期、期待される成果を明確に計画し、学習や育成活動でも焦点を絞るようにしましょう。

    Learn:学習は、さまざまな場所、さまざまな方法で行われています。クラスルーム形式の学習だけでなく、OJTを通じた学習なども取り入れます。

    Sustain: T企業では莫大な学習が行われますが、そのほとんどは聞き損なったり、忘れられたり、職場では活用されなかったりします。この最後のステップは、学習内容を職場で実行する後押しをするためだけでなく、習慣化され仕事のパフォーマンスに反映されるまで継続するためのものです。マネジャーの支援、メンターやコーチの提供、フォローアップ研修による行動強化、仕事でスキルを活用する際に役立つツールの提供などで、学習内容を維持し、仕事での活用を継続させます。

    最後に

    バランスの概念が個人の有用性の中核であることは、驚くべきことではありません。何世紀にもわたって、バランスは人生の目的や活の中心でした。道教でいう「陰陽」、韓国の「快」や仏教における「中道」、いずれも充実感や啓発、契約が絡み合っています。

    パフォーマンスが高い人は、人生、コミュニケーション、問題解決における思考法、社会との関係性におけるバランスを維持します。バランスに欠ける人生の中で高いパフォーマンスを上げる人もいますが、そういった成功のほとんどは一時的なもので、はかないものです。一貫して高いパフォーマンスを生み出している人のことを考えた時に、その人は人生や人間関係、自己意識におけるバランスがよく取れている人だとわかることでしょう。

    詳細については、ウィルソン・ラーニングにお問い合わせいただくか(電話:03‐6381‐0225)、お問い合わせフォームをご利用ください。

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